.

query_builder 2026/06/03
インプラント
画像574
画像574
.
【保険のCADCAM冠は悪なのか?】
.
令和8年度歯科診療報酬改定でも、適応範囲が増えたことで話題の保険で治療可能な白い歯『CADCAM冠』や『CADCAMインレー』は、実は歯科会では賛否両論があります。
当院ではCADCAM対応を行っております。

形成量(歯を削る量)が一般的にセラミックスと同等もしくはそれ以上、メタルと比較すると1.5倍程度必要と教科書的には書かれます。

よくSNS等で散見される一部歯科医療従事者の内容では
・変色しやすい
・割れやすい
・外れやすい
・削る量が多い
と、いかにも悪いものかのように表現され、自費治療への誘導のためか、やめた方がいいということを書く方もいます。
自由診療におけるセラミック修復とは完全に別物と考えているため、そのようなお話は当院ではいたしません。

私自身の臨床経験としては、実は上記のようなトラブルはほとんど経験したことがありません。

①変色に関して
CADCAMブロックとして採用される製品は、工業化されたシステムの中で均一なフィラー分散、均一な重合がなされているブロックを削り出すため、セット時の調整などで綺麗に研磨されていない状態で口腔内に入ることで起きるものと考えています。もちろん、セラミックスと比較すると表面の滑沢性や研磨性には劣りますが、小規模のコンポジットレジン修復(CR修復)でも研磨をしなければ、未重合層や粗造面に着色物質が付着する可能性はあるのです。
⇨つまり、歯科医師が時間に追われ、研磨を怠ると着色しやすくなります。これはメタル修復やセラミック修復の調整後も同様です。当院では、拡大視野で研磨を徹底的に行うように工夫してます。
レジンの持つ吸水性による着色は、材質の特性のため明確にどれぐらいで変色するという議論はできません。綺麗に保たれている方もたくさんいらっしゃります。

②割れやすいかどうか
ある程度の強度は、国の規定で決められた破壊強度や3点曲げ強さによる試験でクリアしているため、患者様自身の口腔習癖や対合歯の状態、また咬合状態を精査する目が必要と考えます。また天然歯やセラミックとは比較にならない硬さですが、逆に対合歯に負担がないこと、それ自身が割れるために歯根破折を防げるといったことも言われております。
⇨適切な形成デザインと形成量に加えて、歯科医師の俯瞰的な口腔内の診断が必要と考えます。

④外れやすさ
CADCAMブロックは、ハイブリッドレジンに分類される材料です。材料の組成それぞれに対応する適切な処理を行うことである程度の強さで接着し、私自身の臨床ではすぐに外れてしまったということはありません。
クラウン側には『サンドブラスト→シラン処理→ボンディング(プライミング)処理』
支台歯側には、『エッチング(エナメル内窩洞、Inなど)→シラン処理(CR覆髄面)→ボンディング処理』
形成量やデザイン、適切なテーパー付与は言わずもがなです。

⑤削る量について
先ほども書いた通り、従来のメタル修復と比較すると、約1.5倍程度の形成量が必要と言われています。
しかし、そのような厳密な形成の違いを保険治療のメタルまたはCADCAMで実践できている歯科医師はそう多くないと思います。
形成が速くて綺麗な先生も一部いらっしゃりますが、短期間で外れた、割れたと当院へご来院される方の支台歯は到底理想的なものと言えない削り方がほとんどです。
まずは基本的な形成をきちんとやることで、結果的に無駄な歯を切削せず歯質温存が可能になると思います。

またバイト材やIOSを用いたクリアランスのチェックや、適切なテーパーかつ太さのダイヤモンドバーでの形成、歯科医師側にも多くのことが求められるのが支台歯形成です。
これは保険だから、自費だからは関係なく、印象の精度をあげ、不適合を防ぎ、着実にセットするために必要なのです。

保険では材料を使えば使うだけ赤字だから、そんなことやってられないとおっしゃる方もいるかもしれないですが、すぐ外れるような補綴修復を私はしたくありません。患者様からの信頼もすぐに崩れてしまいます。

このように材質に対しての理解や限界、また工夫すべきことを意識するだけで、3〜5年で劣化が始まると言われる保険内修復治療でも、できるだけ長持ちする綺麗な補綴物を装着可能なのではないかなと考えて日々臨床を行っています。コストのバランスも勿論大切です。
一方材質的な限界値として摩耗による咬合高径の低下や、メタル修復と比較した際に口腔内に残存するかどうかについては議論の余地があるため、患者様とご相談しながら保険治療においても着実な治療を行うよう努力しております。

当院では、保険治療・自由診療ともにできるだけ丁寧で精密な治療を行えるよう、完全予約制・マンツーマンスタイルで治療を行います。またアポイントも十分な時間を確保して、術前術後の説明と共に、その結果や原因も共有するようにしています。

ご相談は、保険治療でも自由診療でも遠慮なくお待ちしております。